松永大司 監督『碧朱』

解説

ドキュメンタリーとドラマを交互に発表し、村上春樹の「ハナレイ・ベイ」を映画化した松永大司監督が舞台に選んだのは、旧い町並みが残る一方で民主化と経済発展が急ピッチで進むミャンマー・ヤンゴン。日本から派遣され鉄道整備事業に携わる商社マン・鈴木(長谷川博己)を主人公に、都市を巡る環状鉄道の車内や駅舎、活気に満ちた庶民のマーケットなどが登場し、ミャンマー人女性スースーとのふれ合いが描かれる。スースー役のナンダーミャッアウンは映画・演劇の演出を学ぶ現地ヤンゴンの大学生だが、本作では可憐なヒロインを演じている。撮影を担当した高詩熠(ガオ・シイ)は日本映画学校(日本映画大学の前身)に学んだ気鋭の中国人カメラマン。

あらすじ

ミャンマー・ヤンゴン市内をゆったりと走る環状列車に乗り、外の風景を眺める日本人・鈴木。同じ電車に乗り合わせた男に、自分が環状線の速度を倍化する仕事をしていると話したところ、なぜ速度を上げる必要があるのかと問われる。人々の生活が楽になるからだと答えた鈴木だが、以後、その答えに疑問を持ち始める。マーケットでお土産の伝統衣装・ロンジーを購入した彼は、その後、ひょんなことでロンジーの縫い子スースーと再会する。スースーの家族との交流を通じ、鈴木の疑問は深まっていくのだが…。

キャスト

鈴木役:長谷川博己(日本)
鈴木役:長谷川博己(日本)

1977年東京生まれ。2001年に文学座付属演劇研究所に入所。蜷川幸雄演出の「ヘンリー六世」(10)、「海辺のカフカ」(12)など数々の舞台に出演。その後活動の場を映像にも広げ、2012年第35回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。園子温監督『地獄でなぜ悪い』(13)、黒沢清監督『散歩する侵略者』(17)等、多数の映画に出演し、庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』(16)では第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞。2018年10月より放映の連続テレビ小説「まんぷく」ではヒロインの夫を演じ、2020年1月より放映のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主演が決定している。

コメント

いろいろな言語が飛び交う撮影現場でしたが、なぜか言葉の壁を感じるという感覚がなく、ミャンマーの方と一緒に芝居をしていても、相手の言うことがわかるのが不思議な現場でした。撮影場所は生命力を感じる素晴らしい光景ばかりで、発展途上のこの原風景を残しておきたいという気持ちもあり、どう変わって行くのか楽しみでもあり、その気持ちの揺れが自分の役につながりシンクロして演じられたのではないかと思います。 新しい発見があるとても刺激的な現場でした。

スースー役:ナンダーミャッアウン(ミャンマー)
スースー役:ナンダーミャッアウン(ミャンマー)

バングラデシュとの国境に接するミャンマー・ラカイン州生まれ。演技の勉強をするため単身でヤンゴンへ渡り、ミャンマー国立文化芸術大学映画演劇学科に入学したが、大学2年目で演出科に転向。大学の授業の一環で様々な学生映画に出演し、短編も複数監督している。この度「アジア三面鏡」のヒロインに抜擢された。

コメント

「アジア三面鏡」は、私にとって初めての外国映画への参加となり、映画製作において多くを学びました。現場のみなさんは時間を厳守し、また撮影前の企画段階からきちんと取り組まれるので、大変感心しました。