デビュー作『シアター・プノンペン』が日本で公開されたソト・クォーリーカー監督は、カンボジアの首都プノンペンに実在する日本カンボジア友好橋(チュルイチョンバー橋/通称:日本橋 )の建設を物語の中心に据え、同国の内戦から復興へ、時代を超えて祖国カンボジアと日本をつなぐラブストーリーを作り上げた。主演の加藤雅也はアジア作品への出演経験が豊富だが、本作では橋の建設に携わった人物の青年期とその後を見事に演じ分けている。相手役のチュムヴァン・ソダチヴィーはダンサーとして数々の国際的な舞踊・演劇作品に出演。クォーリーカー監督自身もソタリー役で出演している。また本作には、自国には殆ど残されていない、内戦時の記録映像も織り交ぜられている。
1992 年の着工から2年、破壊されていたプノンペンの「日本橋」が新たに完成した。橋の修復に携わった日本企業の社長・福田は、かつてカンボジアで過ごした日々を回想していた──。橋の建設のためカンボジアに来た福田は美しいミリアと恋に落ち、結婚して日本で暮らす約束を交わす。しかし、やがてクメール・ルージュが台頭し、危険を感じた父親が福田を帰国の途につかせたのだった──。あれから20年。ミリアは生きているのだろうか。そうした思いを胸に、福田は橋にたたずむ。
1963年4月27日生まれ。ファッション誌“メンズノンノ”のモデル、パリコレのモデルなどの活動後、俳優に転身。『クライングフリーマン』(96年/クリストフ・ガンズ監督)、『BROTHER』(01年/北野武監督)、『恋戦沖縄』(01年/ゴードン・チャン監督)、『荒ぶる魂たち』(02年/三池崇史監督)、『風のファイター』(04年/ヤン・ユノ監督)、『新宿インシデント』(09年/イー・トンシン監督)などの国内外の映画やテレビ、舞台で活躍。2016年は『テラフォーマーズ』(三池崇史監督)、『真田十勇士』(堤幸彦監督)の他4本の映画が公開になり、11月には主演映画『棒の哀しみ』(伊藤英裕監督)が公開予定。
民俗舞踊、影絵舞踊に堪能であり、それ以外にも1994年より女性のみによるカンボジア古典舞踊の男性役の訓練を始めた。2006年にロバート・ウィルソンにより設立されたThe Watermill Centerのインターナショナル・サマー・プログラムにてコンテンポラリーダンスを学んだ。以来、世界中のコンテンポラリーダンスのワークショップに参加しており、Emmanuèle Phuon、ピーター・チャン、アルコ・レンズなどの作品に主要ダンサーとして出演、各地をツアーしている。また自らも振り付けを手がけている。最近ではマドリードのテアトロ・レアルで上演されたピーター・セラーズ演出によるストラヴィンスキーの「ペルセフォネ」、三島由紀夫原作・宮本亜門演出の舞台「ライ王のテラス」に主要ダンサーとして出演。