SHINIUMA Dead Horse

『SHINIUMA Dead Horse』ブリランテ・メンドーサ監督

解説

2016年のカンヌ映画祭で『Ma’ Rosa』(原題)が女優賞に輝くなど、世界的な注目を集めるブリランテ・メンドーサ監督が舞台に選んだのは北海道・帯広。SHINIUMA(死に馬)という意味深長なタイトルのもと、鉄の橇(そり)を馬に曳かせるユニークなスタイルの「ばんえい競馬」と、牧場で働いていた不法滞在のフィリピン人労働者(ルー・ヴェローソ)が強制送還される顛末が、即興性と躍動感に満ちたメンドーサ特有のタッチで描かれる。冒頭と掉尾に日本とフィリピンの競馬場を登場させ、酷寒の北海道から灼熱のフィリピンへの移動を一筆書きのように描ききる構成の妙にも注目。

あらすじ

真冬の北海道、帯広のばんえい競馬。レースで当てたフィリピン人のマニーは札束を握ってご機嫌で帰路につくが、彼が馬の世話をしている牧場に入国管理局の担当官がやってくる。不法滞在者のマニーは捕まり、本国に強制送還となる。マニラまでは飛行機、空港から長距離バス、ジープニー、バイクタクシーを乗り継いで故郷の村へ。だが、もう家族はおらず、泊まるところもない。結局、マニーはサンタ・アナ競馬場の厩舎に潜り込むが…。

キャスト

マーシャル役:ルー・ヴェローソ
マーシャル役:ルー・ヴェローソ

1949年生まれ。コメディアン、俳優、監督、政治家として幅広く活躍。2009年に『白タク』(TIFF2011上映)に出演しフィリピンで数々の賞にノミネートされ、FAMAS (The Filipino Academy of Movie Arts and Sciences Awards)、シネマラヤ・フィリピン・インディペンデント映画祭、ブリュッセル・インディペンデント映画祭含め5つの主演男優賞を受賞している。またマニラのサンタアナでコミュニティ劇団を設立し演技指導をしている。2010年に卓越したコメディの才能とキャリアへの功労としてフィリピン映画芸術及び科学アカデミーのLou Salvador Sr. Memorial Awardを受賞。近年ではハリウッド映画『ボーン・レガシー』(12年)に出演。メンドーサ監督作品では『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』(09年)、『罠(わな)~被災地に生きる』(TIFF2015上映)に出演している。